清々しい秋晴れとなった10月4日、「アビリンピック北海道大会」がポリテクセンター北海道で開催されました。
昨年度初めての参加で競技進行等のお手伝いをいたしましたが、今年度は「パソコンデータ入力(対象:知的障がい者)」の問題作成と当日の競技進行を担当いたしました。問題作成時には諸先生方に多くの力添えをいただき、昨年度の修正点を加味した問題を作成することができました。
競技者6名全員の出席で、予定時間通り競技が開始されました。
競技課題は全部で3競技です。
最初の競技は「アンケート入力競技」で、30分の制限時間で全50枚用意されたアンケート用紙の内容をエクセルの入力フォームを使ってひたすら打ち込むものです。
私の開始のお知らせと共に一斉に一心不乱に作業を開始です。
競技の途中で、NHKの方々が映像を撮りに会場内に入られた時に、集中が切れてしまったらどうしようと思いましたが、全くの杞憂で全員の集中力は素晴らしいものでした。
多くの選手がタッチタイピングでリズムよく入力を進めていきます。
昨年は50枚すべて終わらせることができた選手はいませんでしたが、今年は2名の競
技者がすべての入力を完成させ、達成感に包まれたキラキラとした目をして「はい」
と挙手をしてくれました。
少しの休憩の後、次はエクセルを使っての「請求書作成競技」です。
この競技は、まっさらのエクセルのシートに指示見本の用紙を見ながら入力をし、そのあと設問を解く形で計算式や表としての見栄えの部分を完成させる課題です。
こちらも前の課題同様、タイピングのスキルが問われます。
さらに計算式を考えながら組立て、そして完成したものを印刷する場合の設定も必要です。3つの競技の中で一番難易度の高い競技です。
こちらも全員すばらしい集中力で向き合っていました。多くの競技者が制限時間の30分で大半を完成させることができていたようです。
昨年はこの競技の採点をするのに時間もかかり、採点に対しての見直しが必要、ということが私たちの課題でした。今年はK先生に早い時期から採点システムを作成していただき、何度かシミュレーションを重ね万全の大勢で臨みました。
おかげさまで今年はお昼休憩の45分間でこの課題の全員の採点を済ますことができ、余裕を持つことができました。
お昼休憩が終わった後は、最後の競技「ワード文書修正競技」です。
この競技は私たち問題作成者側では「間違い探し」と呼んでいて、紙の原稿の文書を見ながら画面上のワードの文書の誤字や誤変換、半角文字になっているところを全角文字に修正など、校正の技術を求める競技です。びっしりと約2,000文字もある文字だけの文書を読むだけでも大変です。そこからルールに従って校正をする作業は非常に根気のいる作業です。
こちらも多くの競技者がすばらしい集中力で慎重に向き合い、高得点を取っていました。
すべての競技が終了した後、私たちは最後の課題の採点を行い、すべての課題を総合して得点率という形での数字を出した後、金賞、銀賞、銅賞の上位3人を選出いたしました。
実はここには大会の選考基準があり、得点率が高いだけではなく、全体の7割以上ができていて金賞、6割以上で銀賞、5割以上が銅賞ということになっていました。
今回「パソコンデータ入力競技」では、上位3人が金賞相当の80%超えで、金賞の選手は95%という素晴らしい結果となりました。この選手は来年愛知県で行われる全国大会へ参加できることでしょう。ぜひそちらでも実力を発揮していただきたいと思いま
す。
会場で競技者ひとりひとりの取り組み方を観察してくださった先生に聞いた話ですが、同じ職場からの参加だった二人が競技後、お互いの健闘を称え合いハグしていたそうです。
この競技を通じてお互い切磋琢磨し合いながら練習してきたのかと想像すると胸が熱くなります。
全体を通じて感じたことは、事前に発表されていた公開練習課題をあらかじめ取り組んで参加している人が多かったことです。課題ごとに対策を立てて作業していたと思われる節もあり、公開練習課題も本番同様に力を込めて作成したものなので作成者としてはとても喜ばしいことでした。そして何といっても素晴らしかったのは全員の最後まで切れない集中力です。
私自身もこういう集中力を持って物事に取り組みたいと改めて思うこととなりました。
今回の競技者の多くが社会人として働きながらの方でした。きっと職場でもいつも慎重に集中してお仕事されているのだろうということは想像に難くありません。
昨年初めて手探り状態ではじめたアビリンピックでしたが、今年は昨年度混乱した点を見直し取り組むことができました。
主催者の「高齢・障害・求職者支援機構」のご担当者の皆様にはこちらの要望を最大限取り入れていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。ぜひ来年も当学院に、と言っていただけるように願っております。
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